HOMEに戻る


「復活」考

最終話、見た人の感想の多くは「その後の展開」がどうなったかが気になるのだろうと思う。
特に女性の視聴者は。

もちろん、自分自身も最初はそれに捕らわれていた。
けれど、「書き手」が何を伝えたかったのだろうかと、考えいていくうちに別の着地点に降り立った。

「復活」は「復讐」がテーマだ。
優しくて、公平で、正義感があり、誰からも愛されるべき人間。
その主人公が、「復讐」に向わざるを得ない道に立たされたとしたら。
父親と弟、そして自分までもが重複して殺され、20年という時間を切り取られ、引き剥がされた悲劇。
犯罪者たちは、塗りつぶした過去の上に、富と名誉を手に幸福に生活を営んでいる。
何も知らない彼等の子供たちは、賢くもあり、父親を尊敬している。
けれど、過去・現在と主人公の前で重ねられる悲劇。
自分の存在さえ闇に葬り、すべてを明らかにする「復讐」の道しか選べないとしたら。
そして、それを誰もが止めることが出来ず、見守るしかない状況であったとしたら。
人を殺すのではない「復讐」の道。
すべてを明るみにしたいとの一心からの「報復」。
状況は主人公に味方をする。
切り開かれていく「道」
その果てに巡り来る「予想外」「計算外」の結末。
復讐は果たせたものの、待っていたものは……いつの日かその日は来るのかもしれないが、悲劇だと思う。

「戦争」は生き物だ。
そんな言葉を聞いたことがある。
「復讐」「報復」。
もちろん最初は明確な目的があった。
例えば原爆。
ホロコーストでユダヤ人の大殺戮を行なうヒットラーを殺すために、同胞を救うために、アメリカのユダヤ人科学者達は命をけずる思いで核爆弾を作ったと聞く。
だが、ヒットラーは死んでしまった。
核爆弾は、ヒットラーの終わりと同時に、無用の長物となるべきだった。
けれど、「その効果」を試したいという欲求が、アメリカの手で標的が変更される。
日本。
科学者たちは反対した。
ヒットラーが死ぬ少し前、
大勢のユダヤ人たちがドイツの同盟国である日本を経由して、第三国へ渡ることができた奇跡の物語があったからだ。
リトアニアの一人の日本人外交官の、祖国を敵に回しかねない大英断によって発行されたビザを得た約6000人のユダヤ人たちが、日本で温かくもてなされ、第三国に渡っていったという。
核爆弾を開発した多くのユダヤ人たちは反対したという。
彼等は日本が同胞を救ったことを知っていたから。
けれど、原爆は投下される。
当初の、ユダヤ人科学者たちの目的とは、まったく違った方向を向いたまま。
同胞の恩人であるはずの日本に「悲劇」は投下された。

「復活」を見終えて、戦争のそのエピソードが蘇った。

「殺」という魔物は、たとえどれほどの、仮に100パーセント正当な理由があったとしても
やがては持ち主の手を離れて、コントロールさえ出来なくなり、逆に咽元に襲いかかってくる存在なのではないか、と。

「死んでしまった人よりも、生きている人の方が大切ですから」
「愛情は人を育てることを知りました」

最終回でのある人物の言葉。
そこに希望を見出して欲しかったのだろうか、と作者の意図に思いを馳せる。

そう考えると、あのラストがしっくりときた。